薬丸 岳『悪党』

悪党

悪党

犯罪の数だけ犯罪被害者がいるわけで、当人だけでなく遺族を含めれば結果としてそれは膨大な人数になるんだろうなということは理解できますが、主人公(の職場)自らそういう人を呼び込んでいるとは言えほとんどの登場人物が犯罪被害の関係者だってのはさすがに展開として言い方悪いけど飽きました。あとタイトルもこの内容からすると微妙。連作短編集のような形で、全体を通してのキーワードはおそらく「赦し」だと思うのですが、こういう結末になるならば違うタイトルの方が良かったのではないかと思う。後味は決して悪くないのに、むしろ前向きとすら言えるのに、このタイトルと帯文だと逆に読者を逃がすんじゃないかなぁ。