東野 圭吾『パラドックス13』

パラドックス13

パラドックス13

それなりに期待して読んだのですが、これははっきり言って駄作・・・だと思った。というか帯で煽りすぎ。設定は面白いと思ったんだけど、着地ありきというか・・・この着地にするための人物設定と展開だったように思えました。その着地自体もありがちだし。SFとしてもパニックモノとしても描写不足で全く引き込まれませんでした。世界が変われば善悪の概念も変わる。この作中の状況であればそれに説得力が出るというか、東野さんならばそれをぐんと掘り下げることが出来ると思うのに、最終的に行き着いた先がイブ発言って・・・。それにこの世界に飛ばされた人達ってある共通点があるのですが、戻れる戻れないと議論するのは当然としても戻った結果その共通点がどうなるか?ってことを考えてないのも違和感だった。この共通点って面白いと思うんだよな。
以下、背景色でネタバレしてます。

本来であれば死んでいるはずの人達が仕組みが全くわからないP-13という現象に巻き込まれ「仮」として作られた世界に落っこちてしまい、仮の世界はその人達の「知性」を「異物」であり「矛盾」として「排除」しようとする。これってかなり魅力的な設定だと思うのですが、それが全く活かされてないのが残念すぎる。死んだはずが生きていることも、なぜ世界(地球)が知性を排除しようとしているかということも、どっちもただそのことが説明として語られるだけでそこから広がらないんだもん。

↑ここまで。
非常に残念な出来だった某ネットカフェ漂流ドラマと合わせて、やはり漂流教室は偉大だなと再認識できたことが収穫でした。