中村 文則『世界の果て』

世界の果て

世界の果て

初めての短編集だそうですが、キツかったです・・・。中村文則小説独特の不条理がむしろ長編よりもギュギュっと詰まりすぎてていろんなところに突き刺さったり圧し掛かったり・・・とにかくキツかった。でもそのキツさは決して嫌いなキツさではない。書く事が自分を救ってくれていると言うように、中村文則の言葉には「生」があるから。生と言っても“この本を読んで生きる勇気がわきました”とかそんな陳腐なものではなくて、何ていえばいいのかなぁ・・・常識とか現実とかそういうものの囲いに誰よりも捕らわれていながらも、実際はその外にいるというか、自分が見たもの自分が感じたものだけを必死で抱えて生を全うする・・・それが自分にとっての実存だから、そういう強さであり図太さが感じられるから。私が感じるそういうものがこの本に詰まってました。