真梨 幸子『ふたり狂い』

ふたり狂い (ハヤカワ・ミステリワールド)

ふたり狂い (ハヤカワ・ミステリワールド)

女性に大人気の連載小説(とその作者)をキーとする連作短編集なのですが、各話がかなり密接に関係しているので長編を読んだごとき充実感でした。連作短編集って話の順番と作中時間がそのままリンクしてるのが普通(そういうものが多い)だと思うのですが、この作品は作中時間の流れが掴みにくくて、それが一層真梨作品独特の気持ち悪さを演出するのに一役買ってるなと思いました。やっぱ上手いよなぁ。真梨さんと言えば厭女小説のトップランナー(のお一人)ですが、今作は男性視点の物語もあったりするんだけど厭というよりもどこか滑稽で情けなく、やはり圧倒的な存在感を放っているのは女性達でした。さすがです。