『最遊記歌劇伝―Go to the West―』@天王洲 銀河劇場

とりあえず千秋楽のチケットだけ確保しておいてあとは評判によって増やせるだけ増やそうっと☆と思ってたのに蓋を開けたらボロクソに言われまくってるもんで結局千秋楽のみの観劇でした。でも自分の中のハードルを下げられるだけ下げて臨んだせいか、思ったより悪くなかった。というかむしろ見れたw。自分のオタ舞台に対するスキルの高さというか耐性の強さに呆れたわw。


来年にDVDが発売されるそうなので、ネタバレがいやな方はご注意ください。



メインの話は三蔵VS六道。そこに無理やり紅孩児を入れ込んだという感じ。その過程で三蔵一行がそれぞれ抱える過去の描写が多々挟み込まれるんだけど、それはまぁ必要不可欠な描写だからいいとしてもぶつ切りに挿入されるのと描写自体もあっさり気味だもんで、これ原作未読の人はほとんどわからないんじゃないかなぁと思った。特に悟浄パート。もしかしたら独角と悟浄が兄弟だってことすら伝わらない人がいるんじゃ・・・!?って思うぐらいだったんだけど。過去に関してはキャストのネームバリュー(と事務所の押し)の関係か、八戒の過去に力を入れて描いてはいたけど、こっちも花喃と八戒(悟能)の関係性がわかりにくかったんじゃないかなぁ。セリフとして説明されるだけだし、そのセリフを言う部分が八戒と悟浄のアドリブコーナーと繋がってるから聞き逃したらわけ分かんないんじゃないかと。まぁそのものズバリを描くわけにはいかないだろうけどね。そんなわけでエピソード細切れな上に各描写が甘い+その細切れのエピソードの間に結構長い秒数使って暗転してるからいまいち世界に入り込めなかったのがとても残念。
でも下手に原作をアレンジするわけじゃなく、時間軸の描き方と繋ぎの演出が悪いだけで会話なんかは結構原作通りだったんで、六道に三蔵が刺し貫かれてからの観世音が現われ血気を注入し、三蔵の側でしょげ返る悟空、それを励ます八戒、そして1人六道の元へ向かおうとする三蔵と扉ごしで会話する悟浄までほとんどソラで言えたもんw。てかわたしどんだけ原作読み込んだのかと・・・・・・別に原作オタだったわけでなく、この舞台をやると発表されてからアニメを見て原作買って読んだ新参なのに。ほんと勤勉すぎる自分がいやだw。


脚本演出もさることながら、いっちばん酷い・・・・・と思ったのは歌でしたw。歌唱力も酷けりゃ曲も酷い、歌パートに関しては全力でダメ出しするわ。『GO WEST』も『BE THERE』も曲自体はそんなに悪くないけど劇中の曲が(観世音と二郎神の曲以外は)ほとんど同じようなテンポの同じようなトーンの曲だから、テーマ曲として“立たない”んだよな。印象に残らない。原作ってどう考えてもロックってイメージだからもっと疾走感があって爆音の舞台を期待してたってのにそれこそお経みたいな曲ばっかだし、 “歌劇”と銘打ってるのに歌い始めると途端に目が覚めるんだもんw。芝居パートはさほど悪くないのに歌い始めると本気でガッカリすんのw。メイン4人のうち1人もまともに歌える人がいない(八戒に至っては壊滅的w)んだから何もわざわざミュージカルにすることなかったのにとすら思ったわ・・・。歌いながらの踊りもアクションも少なかったし、まぁ見た目ありきのキャスティングだったんだろうなぁと。ビジュアルはね、ほんと完璧に近いぐらいよかったの。特に4人が並んだ後ろ姿のシルエットとかもう泣きそうになるほど完璧だったしね(漫画原作の舞台化で身長や体格が原作通りだってのがいかに重要かということを改めてかみ締めました・・・と不二オタのわたしが言ってみる)、悟空だけ顔の種類が違うのも原作通りだしw。紅孩児も独角もこれまた身長差とか完璧だし、観世音様なんてよくぞそこまでその衣装を着こなしてくれました!って拍手もんだったし。多分何も考えずこのところのオタミュの流れに乗ろうとしての“ミュージカル化”企画としてスタートしたんだろうけど、いくつかオタミュを見たわたしとしてはこのキャストでやるならばストレート舞台+カテコでテーマ曲1曲を全員で歌うって方が向いてる気がする。その分アクションに力を入れれば絶対いけると思うんだけどな。まぁそうすると紅孩児役の小野田くんの無駄遣いになってしまうのだけど・・・。
桃源郷をイメージするのに天井まで聳えるセットってのはいいと思うんだけど、セットの幅というか奥行き?取りすぎ。前にこの会場でセット後方の壁まで見せる舞台を見たけど結構奥行きあるはずなのに3分の2ぐらいのスペースをセットで使ってたと思う。もっとスペースがあればアンサンブルの人たちもスピーディで大きな動きが出来るだろうし、悟空と悟浄の長物ももっとブンブン振り回せると思うんだよなぁ。あと、予算の問題やなんかで難しいかもしれないけど、このサイズの舞台でやるならアンサンブルを倍にして欲しいわ。
とまぁ文句タラタラですが、ただの文句ではなく改善点を挙げてることに気がついてくれるでしょうか。つまりこの舞台には改善すべき余地が有り余るほどあるってことなの。そしてどうでもいいと思う舞台だったら改善点を見つけようとしたりしない。カテコで来年の再演(というか続編をやるって風に取れたんだけど)が発表されたんだけど、正直客入りはあんまり良くなかったらしいのに再演にゴーが出たのって、アンケや手紙なんかでみんな改善点をばしばし書いてきたからじゃないかなと思う。実際わたしもここまで本気で書くの久しぶりってぐらいアンケート用紙の裏も使ってびっしりダメ出ししたんだけど、アンケートの中に再演があったら見たいかどうかって項目があって、そこはしっかり“ぜひ見たい”に丸をつけたのねw。きっとそういう客が多かったんじゃないかなーと。今回の初演がダメだったことは確か、でもこのままで終わらせるには惜しいって感じた人が多かったんじゃないかなと思ったんだよね。聞いた話によるとブリミュも初演は酷かったのにあそこまですごい舞台に成長したって話だし、客の声を真摯に受け止めて、再演ではひっくり返るほど見違えた最遊記舞台を見せてほしいなと思います!


以下、楽メモを挟みつつ各キャストの感想です。
悟空役の椎名鯛造くんはとても身軽で、とび蹴りがほんと漫画みたいでびっくりしたわ。バク転も華麗だったし、前述の通りアクションが少なめだったのがもったいない。でも次が続編なのだとしたらきっと悟空VS紅孩児があるだろうから、そこらへんは次回のお楽しみということでw。あと、これも↑で書きましたが、メイン4人の中で鯛造くんだけ顔の種類が違うのがとても良かったですw。他の三人が今風のカッコイイ兄ちゃんなのに対して鯛造くんはガキ大将って感じで、ほんと笑うとニカッて文字が浮かびそうな笑顔を浮かべるんだよね。悟浄とのギャーギャーいいながらのやり取りもすっごい可愛かったし、楽ではゴキブリ河童(と悟浄のことを呼んでるの)に引っ掛けてゴキブリをキャッチアンドリリースしてばいばーいって手を振ってたりw、ほんとバカ猿って感じだったw。


八戒役の載寧は久々に生で見たんだけど、相変わらずスタイルがよかったわー。身長を含めて衣装の着こなしっぷりと笑顔の奥にチラ見えする腹黒さwはなかなかの再現度。そいえば元相棒のホージーも半年ぐらい前?にこの舞台で同じように生を久々に見たんだよなーと思ってなんか縁みたいなものを感じたわ。
キャストがこぞって載寧さんの演技は勉強になったと言ってるように、(この中では)演技の面は落ち着いてみてられました。でも行動というか動きが・・・・・w。悟浄の部屋にいるところを三蔵と悟空に踏み込まれ、三蔵の銃を拾って僕にはやらなければならないことがあると部屋から駆け出すシーンでおもいっきり階段でコケてたしw、カテコの時も金吹雪掬って撒き散らしてキャッキャしながら数歩後ろに下がったところが階段に思いっきり躓いてこけそうになるわ、はける時セットにぶつかりそうになるわもう散々www何やってんのもうw。
そんな載寧さんですがw、この舞台でいっちばんときめいたのが載寧八戒の一言でした。六道にお腹ぶっ刺された三蔵の枕元でしょげ返る悟空を八戒が励ます場面で、
八戒「お腹空きましたね。悟浄も弱ってることだし、何か美味しいものでも作りましょうか」
悟空「八戒が作るの!?」
八戒「いいですよ(にこっ)」
↑これ!!!!!!!ちょっと首を傾げながら「いいですよ」って言ってにこっと笑うこれ!!!!!!!この八戒めちゃめちゃ好みだったわ!!!!!見た目はイケるだろうけどわたしの中の載寧ってわりと熱血真っ直ぐキャラを演じるイメージが強かったから八戒のソフトさを出せるかなぁと思ってたんだけど、こんなお兄ちゃんっぽい言い方+ふわっとした笑顔ができるんだ!!って全力でときめきながらびっくりしたわ。これでもうちょい歌えればねぇ・・・・・・・・・w。


歌つながりということで麗羅たんこと三蔵役の鈴木拡樹くんの感想を。
八戒の願い叶わず数日前にあとかたもなく燃え落ちてしまった百眼魔王の城跡で、俺が経を読むのは死んだもののためじゃない、生きてるもののためだといいながら三蔵が経を読むシーンがちゃんとあったんだけど、わたしはこの場面が最遊記という物語の中で三蔵という人を表す最も重要なシーンだと言っても過言ではないと思っているのです。八戒が、僕はあの時の声を忘れない
「一瞬の迷いを撃ち殺すような、曇りのない声。俺たちは、この黄金の下に集った」
と言うぐらい、三蔵が三蔵であることを証明する神々しいシーンなのです。アニメ(アニメの声は関俊彦さん)ですら直接経を読むのではなく、4人の過去の明暗を回想するという手法でその声を表現することを避けたほどのシーンなのです。それをこの舞台ではよりによって三蔵の歌で表現しやがったwwwww。もうねー全力でズコーーーッ!てなったわw。アニメみたいに回想するわけにはいかないだろうし、実際に経を読むのは難しいだろうし、歌という表現方法を選ぶしかなかったんだろうなとは思うんだけど、いかんせん歌のレベルがアレだからさー・・・一瞬の迷いを撃ち殺すような曇りのない声には到底聞こえなかったですw。
でもね、歌以外はすごくカッコよかったの。わたしの中で鈴木拡樹くんと言えば麗羅のイメージなんで「殺すぞ」が口癖の残虐鬼畜生臭坊主をどう演じるんだろうということが一番の楽しみであり一番の不安だったのですが、関さんの声を意識してかかなり低くてドスの利いた声を出してたし、決めるところは張りのある太い声でばっちり叫べてたし、金髪+経文を肩にかけた三蔵衣装も似合ってたし、ほんとカッコよかった。こりゃオタ泣くわとw(わたしなかなかの良席で見たんだけど周りがおそらくほっとんど麗羅たんオタで、そんなカッコイイ麗羅たんを見てマジ泣きしてる人がいっぱいいたの)。こんな声出せるんだって本気でびびったもん。麗羅とはほんと真逆。それに幼少時代のまだ江流と呼ばれてた頃(10歳前後)も演じるのですが、ちゃんと幼い子に見えたしもちろん声も高めの声を作って出せてたし、ほとんど違和感を感じなかったんだよな。もしかしてこの子結構やる子なのかも・・・。欲を言えば1度しかなかったと思うんだけど、着物の上を腰巻にした黒いインナー姿がもっと見たかったですw。あれだいすきなのー><


そしてわたしのお目当て紫炎さんこと悟浄役の丸山敦史さんですが、さすがのヅラマスターっぷりを今回も遺憾なく発揮してくれましたw。触覚つきの赤いロングヘアーのヅラなんて丸山くんぐらいしか被りこなせないと思うわw。何度も書いてますが、丸山くんのビジュアル再現度も文句なしです。悟浄の色気もありあまるほど漏らしまくってたしw、対独角、対悟空、対八戒、そして対三蔵とどれをとっても並んだビジュアル文句なしにハァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン☆でございました。シリアス(六角の元へ向かおうとする三蔵との会話)とコメディ(悟空とのほとんどの会話w)のメリハリもきっちりついてたし、なかなかいい悟浄だったと思う。ただ女性キャストがいないもんで、悟浄のエロっぷりが発揮できないのがすこぶる残念。女を壁に押し付けて顔の横に手を付いて耳元で話す悟浄とか生で見れたら全通してもいいのにいいいいいいいいっ!
そんなエロスの塊丸山くんはカテコでウインク+投げキッスかましてきゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ><><><しかもカテコでは後ろ髪を縛ってくれるサービスっぷり!!!!!やっべこの人まじでカコヨス!!!!!でも中身は残念なのよねぇ・・・・・・(後述しますw)。
悟浄は拾った八戒とポーカーをする場面がアドリブコーナーだったみたいなんだけど、レポをちらほら見た感じだと結構素で噴出しちゃってたらしいですねw。てか八戒がそこまでアドリブがんがん入れるタイプだとは思わなかったw。悟浄はヘビースモーカー設定なのでポーカーをするテーブルの上においてある灰皿は吸殻が山盛りなのはいいんだけど、楽は吸殻が悟浄の触覚みたいに刺さってて(公式ブログ参照)w、八戒が真顔でその吸殻に向かって「悟浄さん・・・」とかって話しかけんの見て本気で「ちょ!!!」ってつっこむのがキャワでしたw。なにやらこの二人はトークショーでもちょいちょい耳打ちとかしてたらしく、なんかとてもイイわ!ときめくわ!!。あとゴキブリゴキブリ言いまくる悟空に頑張って言い返してたんだけど口が回らなくなっちゃって、あとで八戒に「だってあの人(悟浄)楽なのに思いっきり噛むんですもん(一人にしておけません)」って言われてたwww。
そんな悟浄はカテコの挨拶で天然炸裂。第一声がものっそいテンソン低くて張りもなくもごもごだったから即悟空に「葬式かよ!!」って突っ込まれてw、気を取り直してちょっと声張ったのはいいんだけど「いやーもうねぇ・・・嬉しいっ><みんなに見てもらえて・・・こんなに隅から隅までぎっしり入っていただいて・・・嬉しいっす。エヘヘ」ってヘラヘラ笑いながら喋り出して、その時点でキャストみんな苦笑いだったり笑い堪えてたりしてたんだけど、続けて「ほんと今日は僕たちの最期を見に・・」とか言い出してw、最期って!やっぱ結局葬式かよ!!って総ツッコミされてましたwwwww。観世音様とか涙流しながら爆笑してたしw、知ってはいるけど改めてこの人ド天然だと思ったわwww。しかも挨拶してる間中ずーっと嬉しくてたまんないっ!て感じで笑ってんの!!やっぱこの人ずるいわー。
ずるいといえば舞台の最後でアンサンブルを含めた全員がステージ上に立って『GO WEST』を歌うんだけどね、みんなはちゃんと最後まで役を保って歌ってるんだけど、丸山くんだけは途中から素になっちゃって、手を後ろで組んで客席を見渡しながらニッコニコして歌ってんのw。てかもうまじで1人1人と目合わす勢いで3階から順にゆっくりと会場を眺めるの!わたし5列目どセンターだったんだけど、わたしも丸山くんをガン見し続けてたせいかバシバシ目合ったもん!そんでニッコリ笑いかけられたもん!マジで!!あのナチュラルジゴロまじこわい!!!!!


紅孩児役の小野田くんはわたしの好きな某アーティスト(笑)と事務所が同じだということで注目してるのですが、踊りも歌唱力もこのメンバーの中では郡を抜いて上手くて、巧すぎて逆に浮いてしまうというとても気の毒な立ち位置でした・・・・・・。動きが1人だけ舞台の動きなんだよね。でもなにやらアンケ等での紅孩児への高評価がぶっちぎりらしんで、椎名くんの感想でも書いたけど、次が再演ではなく続編になるのだとしたら紅孩児にスポット当たると思う。来年またやるという発表の口火を切ったのも紅孩児だったしw。三蔵が締めの言葉を言って最後の最後の「ありがとうございましたー!」って全員が頭を下げたところで紅孩児1人頭を下げずに「ちょっとまったーーーーーー!!」とものすごいデカイ声で主張して、八戒に「あなた、ねるとんリアル世代じゃないですよね?」って言われてたわ(小野田くんは17歳でこの舞台最年少です)w。
独角の上野亮くんはテライケメン。まじでイケメン。カテコで泣きそうなのを必死で堪えてるのをわたしは見逃さなかったわ!!。悟浄との関係性を含めて独角の背景描写が駆け足になっちゃったのがとても残念です。続編やるって決まってたとしたならば、もっとじっくり描けただろうし描いて欲しいエピソードだからほんと残念。八百鼡が出ないから紅孩児サイドは主君の関係でありながらもチームって感じがなかなか出なくてちょっとかわいそうなんだけど、紅との並びはすごくいい感じだったので、紅とともに続編での活躍を期待したいです。


ニイ役の唐橋兄さんは間違いなしでw。着崩した白衣コスで歌い踊る唐橋兄さんという珍しいものが見れただけで満足です。



なんかいっぱい感想書いちゃったわ・・・。多分ここまで読んでくださった方はうっすら気付いてることと思いますが、なんだかんだ言ってどうやらわたしこの舞台が嫌いじゃないらしいですw。