道尾 秀介『カラスの親指』

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb

道尾作品の中では向日葵とシャドウが好きなわたしなのでさっぱりしすぎで物足りなさは残りますが、構成は相変わらず上手いなと。“人生はやり直せる”がテーマなだけにそうそう悲惨なことにはならないだろうとは思ってましたが、前向きすぎるというかこれはやり直せすぎじゃないだろうか・・・というラストに呆気にとられてポカーンとなってたら、さらにもう1つ外側に幕が張られていてやられたなーという気分。ていうかトサカが・・・・・・トサカが・・・・・・・・・以下自粛。
登場人物の5人はそれぞれ分かり易すぎるほどキャラ付けされていることはいるのですが、例えば同じようなチーム犯罪物として浮かんだ伊坂さんのギャングシリーズなんかと比べるとキャラの魅力は段違いに劣るのが残念。みんなそれぞれ善人ではなく、多分悪人というか悪党の部類に入るとは思うんだけど、でも憎めないよねって程ではないんだよなぁ。だからチームとして応援してあげたいところまではいかなかった。こういう物語には展開に加え個々の能力がチームの魅力に繋がるドキドキ感を求めたいんだよな。