乃南 アサ『ウツボカズラの夢』

ウツボカズラの夢

ウツボカズラの夢

序盤はシンデレラ状態(一応血縁にある人たちから家政婦のように使われるかわいそうな生い立ち)の少女が健気に自分の居場所を探し求める物語かと思ってたのですが、読み終わってみたら確かに「ウツボカズラ」だわ。えげつない。こういう女っているよなー。ぱっと見は尚子おばさんや美緒、それから尚子おばさんの友達とかダンナさんの元愛人とか、そういう人達の方が人生を謳歌してるように見えるんだけど、その実、“人生の”勝ち組になるのはこの主人公の未扶由のような女なんだよ。大人しそうな顔してやるときゃやるよな!って女。ダンナさん(父親)と関係を持ちながらもその息子・隆平くんと関係を結んだ直後に「何があっても、絶対に」離さないって“決めた”ってのが怖いわ。こういう“こいつは逃すべきではない”って男を見分けるのって本能で解るもん・・・なんだろうなぁ。乃南さんの本を読むといつもわたしはメスとしてのスキルが低いんだよなぁ・・・って軽く落ち込む。