道尾 秀介『ラットマン』

ラットマン

ラットマン

 
結成して14年になるアマチュアバンドでギターを弾く姫川は、メンバーにも恋人でありかつてドラムを担当していた恋人のひかりにも言えない過去を持っている。ライブを間近に控えた運命の日、姫川たちのバンドは馴染みの練習スタジオで不幸な事件に遭遇。もしこの事件に犯人がいるとしたら・・・。


ある一つの出来事が、思い込みによってまったく違ったものに見えてしまう。電車のつり革広告で「ラットマン」というタイトルとバンドがどうこうってのを見てどんな話なんだろうって思ったもんですが、読み終わってみるとまさにこれしかないってタイトルで、なるほどなーと感心しました。
登場人物みんな心がすれ違いってところがなんとなく、ほんとになんとなーくなんだけど、ハチクロを彷彿をさせる気がしました。ほんとなんとなくだけど。すれ違いの質が恋愛感情という甘くて苦いものとは違うんで、もうちょっと悲惨というかやりきれない感じだけど。
余談ですが、物語の舞台に馴染みがありすぎてなんかちょっとくすぐったかったです(さほど頻繁に登場する土地及び路線でもないんで)。