我孫子 武丸『狩人は都を駆ける』

狩人は都を駆ける

狩人は都を駆ける

帯や装丁から判断する限り、何故かペット絡みの依頼ばかり持ち込まれる探偵の話のようだったんでかわいいわんこやにゃんこに振り回されるドタバタコメディー的なものを想像していたのですが、違いました。確かにペットが絡んでいるし、この探偵というのが「ディプロトドンティア・マクロプス」に登場する探偵さん(ディプロトドン〜の前日譚)なんでタッチは軽い。でもその実、結構ヘヴィーな事件ばかりでさすが我孫子武丸だなと(笑)。そんな中で読む前にわたしが想像したタイプの物語に一番近かったのが、探偵行きつけのバーテンダーの青年が恋する年上の女性の飼い猫を探してくれと依頼される「失踪」。これは事件そのもののオチといい青年の恋の結末といい、なんかちょっとほのぼのした感じで安心してよめました。逆に言うとそれ以外は容赦なし!ってことなんだけど。
手にとった瞬間は久しぶりの新作だってのに薄いよー!と思いましたが、終わってみたら薄い(短い)中にも我孫子エキスが満ち満ちてたのですごく満足できました。これシリーズ化してほしいな。