- 作者: 深見真
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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以下、内容に触れてます
このところ、有川浩や桜庭一樹のように、いわゆるラノベ出身とされる作家が大人向けというか一般向け作品を描くことが増えてきているように思うのですが、これもその一環・・・ということですよね?これ一般向けですよね?表紙絵じゃないし(ちょっと不安げ)。極悪非道な少年犯罪の被害者家族が法の外で自ら裁きを下そうとする・・・もはや定番と言えるほどの題材を、深見さんがどう“大人向け”に料理するのかとワクワクしながら読んだのですが、途中から全く違う次元の話になってびびったわ。もうね、ありえないの一言です。国家(警察)という巨大な敵に一人で立ち向かう超絶戦闘能力高い男の物語で、赤坂見付の交差点で狙撃が得意な元部下(殺人快楽症気味の女)とともにたった二人で警察のSATや特殊班を殲滅(40人を射殺)ですよ!しかもなにがすごいってそれで逃げ切っちゃうんですよ!!もうテンション上がりまくり。それで何がすごいかというと、アンチヒーローが活躍することで、一人の(そして多分その向こうには同じような大勢の若者がいるであろう)少年に何かを伝える、変わらなくちゃって気にさせるってとこなのです。むしろ主題はそこ、少年がそう思うに至る過程にしっかり説得力があるわけです。だから読んでる私も無償に立ち上がりたくなったりして・・・。あーもうやたらと興奮。よかった、一般向けだからってふかみんが魂売らなくて。
バトル描写は無駄に詳細で、拷問描写もハードカバーで出せるギリッギリ限界に挑んだって感じでそのギリギリ具合に心の中で拳握り締めてガッツポーズしながら読みました。裏表紙っていうのかな、表紙の裏の部分が写真というか実写版みたいなんだけど、読み終わってからもう一度見ると涙すらでそうになったもん。ていうか、エピローグで泣いた。絶対感情移入したとかじゃないんだけど(感情移入できるわけがない)、涙を流すことで人は一つなにかを乗り越えられるんだよきっとって言ってあげたくなりました。くーっ。それを経てのラストシーンはもうほんっとタマラン!!!
ハードカバーだし、装丁もきわめて普通(むしろカッコいい)だし、多分これまで深見ワールドを体験したことがない人にも手にとってもらえるようにって思惑があると思う。だから深夜ドラマが10時代に進出したとたんに抑え目描写になっちゃったみたいなところは確実にあります。エロくないしホモもないしレズもないし腹筋もないし。そこらへんはやっぱり物足りない気はしますが、まぁそれはいくらでも他のシリーズで読めるしな。
YGCのドラマCD買うべきだろうか・・・。