- 作者: 高田侑
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 単行本
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地方の小さな村に伝わる伝説や伝奇に纏わるというかそれを彷彿とさせる事件が起きる土着ホラー(土着ミステリー)風の話でした。“風”というのは、頻発する事件に対して実際に“顔なし子”を思い浮かべてるのは修司だけで(村の中で囁かれたりしてはいない)それはあくまでも雰囲気作りとしての役割であって、描かれているのは一人の孤独でミステリアスな“美少年”(←ここ重要)を軸に、修司と父親の和郎、そして桐也から「姉ちゃん」と呼ばれ慕われていた修司の同級生・麻樹の家庭だったりするんで、むしろ家族愛の物語、そんなにおどろおどろしい感じはなく、想像したのと全く違ってました。
視点が修司と麻樹だけでなく麻樹の娘の桃子としても描かれるんでちょっと散漫な感じがした。修司の家庭には桐也の存在以外にさしあたって問題がない分、麻樹の家庭に動きをもたせるためだろうけど、修司サイドの物語、例えば都会から閉鎖された村へ、それも夫の実家に悪い噂があるようなところへ連れてこられた修司の妻の描き方とのバランスが悪いのが気になりました。あと事件の結末のあっけなさというか唐突さはこういう形になるんだろうなと予想してた通りであったにもかかわらずやっぱり力が抜けました。こういう後だしジャンケンみたいな結末は萎える。