小川 勝己『この指とまれ』

この指とまれ  -GONBEN-

この指とまれ -GONBEN-

貢いでいた彼氏に二股をかけられていた挙句金持ちの女に取られた見た目だけはいい女子大生・椙浦夏子は、金持ちになって二人を見返してやろうと、面倒見がよくて“巨乳!つーか爆乳!!”(本文より)の友人・鹿沼歩らとともに詐欺グループを結成する。詐欺行為を“ビジネス”と呼び、様々な計画をたて次々とカモから金を巻き上げる夏子たちだが、どんどんと大物を狙うようになり、いつしかヤクザや警察を敵にまわす羽目に。


帯に“最凶の知能犯たちが罠を仕掛けあうノンストップの札束争奪戦!”とあったので、夏子たち学生グループとヤクザ、そして悪徳刑事が同じカモ(金)を狙って頭脳バトルを繰り広げるって形なのかと思ったのに全然違ってました。↑のあらすじを読むと夏子たちはプチ詐欺師というか、学生の遊び感覚みたいなものを想像しそうですが、揃いも揃って極悪です。それぞれ“善”の面を持ってるんだけど、それが“悪”の面と普通に共存してるところが恐ろしい。二面性とかそういうレベルじゃないですから。でも読みやすいし、ちょっと極端だけど、刹那的で虚無的な若者の群像劇といった感じ。断然夏樹が好みでした。
久々のかつみんなので、面白いと思うよりもかつみんを読めることの嬉しさのほうが大きかったんだけど(改めて自分のかつみん好きっぷりを再確認)、それにしてもどうも物足りないなぁ・・・と思ったら、拷問描写とホモ描写がほとんどないんだ。犬とか豚に食わせるぞ!とか犯させるぞ!とか全くなかったし。そういう意味では一般向けと言えるかな。でも私は鬼畜なかつみんを愛してるんだよな・・・。読みながら「因果応報」って言葉が浮かんだ途端に登場人物の口から「因果応報」って言葉が出たのにはちょっと驚いた。さすが私!だってかつみん大好きだもの!と妙に嬉しくなりました。