東 直己『挑発者』

挑発者

挑発者

エスパーだという触れ込みでメディアにも取り上げられる著名人の男・巽の仮面を父親の身を案じる息子の依頼で剥いだ畝原は、その様子をたまたま見ていた老人に気にいられ、近く主催されるミスコン出場者の人物調査を依頼される。出場者との面談の後、謎の男に襲われた畝原は、巽との関連を疑うが、直後にメディアで巽の悪事が暴かれたことで事態は予期せぬ方向へ転がる。やがて壮絶な殺害方法で殺された死体が発見され、畝原も面識のある青年の行方が分からなくなり、続いて札幌の町のあちこちでバラバラ死体が発見される。


畝原シリーズです。
このシリーズは読み進むたびにどんどん辛くて悲しくて痛いことが増えていくのですが、とりあえず今作は明美さんと幸恵がまだまだ心の傷は癒えてないものの、それでも穏やかに暮らしている様子が読めてよかったです。いつもいつも新刊を手に取るたびに今回は畝原の家族に危害が加えられませんように・・・って願うってどうなのよ?と思いますほんと。私が読書を楽しむ基準として“人が死んでナンボ”というものがあるので、本来であればそんなこと思わないはずなんだけど、このシリーズに関しては誰も(畝原の周囲の人間)傷ついて欲しくないと思うんだよな。それだけ感情移入してるんだろうし、それだけ悲惨なことが起き続けてるシリーズだと言えるんだろうな。今作も大丈夫・・・だと思ったら最後の最後に一波乱ありました。ふーっ。
貴の好みが可哀想な年上美人というなかなかマニアックな趣味らしく、とするとちょっと冴香には厳しいかもなぁ・・・と親戚のおばちゃんバリに心配してる私(笑)。