伊坂 幸太郎『フィッシュストーリー』

フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

書き下ろし1編を含む4編からなる短・中編集ですが、それぞれがこれまでに刊行されたものとかなり密接に繋がってるので、この人はこのあとあの話でああいう動きをするのかーとか、1冊で二度三度楽しめて読み応えのあるオタに優しい1冊でした。黒澤のイメージが微妙に壊れたけど・・・。もちろん「動物園のエンジンは」ザ・伊坂!、「サクリファイス」はちょっぴり土着ホラー風味、「フィッシュストーリー」はわらしべ長者風、「ポテチ」は広い意味での親子愛と、バラエティに富んだ内容だしちゃんと完結してるので、それぞれ単独でもちゃんと楽しめます。中でも私はフィッシュストーリーがぶっちぎって好き。伊坂作品で一番好きなのがグラスホッパーな私なので、ニヤリとするリンクもあったし、それぞれ自分のできることをやっただけなんだけど、それが繋がって大きな結果を生み、そしてきっとその先も続いていく・・・珍しく分かりやすい夢がある物語でした。たまにはこういうのもいいもんだな。