ブレイクスルー・トライアル ~第5回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作~
- 作者: 伊園旬
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/01/11
- メディア: 単行本
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第5回このミステリーがすごい!大賞受賞作。セキュリティというある意味今一番旬と言える素材を上手いこと料理したなという感じ。ハイテク要塞の真ん中にあるお宝を頂こうとあらゆる便利グッズを駆使する飄々としたまぁまぁオトコマエ二人がメインで、運動能力よりも頭脳で勝負するあたり、読んでてルパン三世を思い出しました。それだけだと話が単調になるからか、ダイヤモンド窃盗グループや管理人とその娘という別の軸も用意されてまして、どっちも定番のキャラ設定ながらも悪くはないんだけど、横の繋がりが足りない。窃盗グループは周到に準備した上で仕事(盗み)に取り掛かるってタイプのわりには、いくら目的がトライアルの成果とは別のところにあろうとも、そっち方面の道具を全く用意せずに重火器だけでセキュリティアタックに挑むってのはちょっとなぁ・・・と思った。管理人の娘も唯一の女性、しかも美人というポジションがさほど生かされなくて残念。女性と言えば、門脇の元同僚の二人は登場人物紹介に入れるほどのものでもなかったと思うのですが。ライバル会社もせっかく3人とも同じようなビジュアルという面白設定を与えてるのに、まるでおまけのような働きしかしてなくてこれも残念。余計なことして掻き回し、結果的にメインの二人の足を引っ張るとかしてくれたらもっと動きが出たのにな。あと、そこまでした末の結末が尻つぼみというかストレートすぎたのも残念。もう一捻りあるかと期待しちゃったので。でもそこまで期待させるだけの魅力があったということだし、対静脈認証や対警備ロボットの描写はかなり面白かったし、読みやすかったのも確か。次作に期待します。