恩田 陸『中庭の出来事』

中庭の出来事

中庭の出来事

瀟洒なホテルの中庭。パーティの席上で、脚本家が不可解な毒死を遂げる。周りにいたのは脚本家による次の芝居のヒロイン候補の3人。他人の手で毒が入れられた痕跡は全くないが、新しい芝居を控えている上に、若い女優と再婚予定の脚本家が自ら死を望むとは考えられない。脚本家の死の真相とは。


読みながらイィィィィィ!ってなりました。どこまでが芝居でどれが現実なのか、事実は一つでも、視点が違えば事実の(見え方)は視点の数だけある。しかもそれが多重構造になっている凝りようで、何度も何度も同じことが違う口で語られるのです。最初は楽しんでたんだけど、途中から入れ子で言ったら今どこらへんなのか?って考えるのも疲れてきて、最後はもう分かったからさっさと真相教えてくれよー!・・・でした。で、相変わらず結末ほっぽり投げ。まぁこれはいつものことですが。
芝居とミステリの融合という売り文句ですが、チョコレート・コスモスとは全く違うので、そういうものを求めている人にはちょっと待てと言ってあげたい。普通に描けば普通のミステリになるところを台本調にしていて、関係者が主に演劇関係者で、トータルして一つの戯曲のようになっている・・・という感じなので。
容疑者として女優が3人登場するのですが、女優1は確実に松たかこでしょ。女優2は若村真由美、女優3は三田佳子で読みました。で、脚本家の再婚相手が内山理名。なんとなく。