ジェフリー・ディーヴァー『12番目のカード』

12番目のカード

12番目のカード

ハーレムの高校に通う16歳の黒人少女ジェニーヴァは、博物館で調べものをしてる最中何者かに襲われそうになるが、機転をきかせて難を逃れる。現場にはレイプ道具とタロットカードが1枚残されており、ライムとサックスは単純な強姦未遂事件と思い、捜査を開始。しかしジェニーヴァはその後も何者かに命を狙われ、事件の背後には別の動機があることに気づく。捜査過程で浮かびあがったのは、ジェニーヴァの先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトン。彼はアメリカの歴史を揺るがす140年前の陰謀に関与していたのだ。140年物の証拠物件に対して、ライムの頭脳が時空を超える。


ライム&サックスシリーズ。今回は物語をひっくりかえすようなでっかい驚きはなかったけど、次から次へと中くらいのびっくり展開が盛りだくさんでした。100年以上前に起きた事件の経過、謎、それが100年以上経った現在にどのような影響を及ぼすというのか、ごく普通の女子高生をこうまで執拗に狙う理由はなんなのか、そして姿が見えない犯人はどのような人物なのか。100年以上前の事件に加えて今回の犯人はあまり証拠を残さないために、ライムとサックスの捜査はさほど活動的とはいえないのですが、その分、今回の主役である口が達者な少女ジェニーヴァが活発に動きまわってくれるし、ジェニーヴァの友情や淡い恋愛感情など高校生活や、ロンに訪れた刑事生命の危機が絡むので、まずまずの満足度。ライムにも嬉しい変化があって、ラストシーンで思わずちょっと泣いてしまいました。