平山 夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』

独白するユニバーサル横メルカトル

独白するユニバーサル横メルカトル

突出した作品がないと言われる今年の各賞ですが、その中でも一番話題作というか扱いに困る作品がコレではないでしょうか。平山夢明とこのわけわからんタイトル・・・気になってはいたものの、手に取るのを躊躇しておりました。果たして最後まで読みきれるだろうかと・・・。だがしかし。読書に関しては基本ミーハーな私ですので、躊躇する気持ちよりもミーハーとしてのプライドが勝ちました。ビビリつつも購入、そして読了。
やっべーーーーーこれ面白い。平山作品はアンソロジーの1篇としての短編をいくつか読んだことがあるだけなのですが、雰囲気の独特さは好みだけど、なんというかマジで変態??というイメージでして、変態小説はむしろ好きなんだけど、変態っぷりが芯まで変態というか、さすがにコレは面白がっちゃマズイんじゃなかろうか・・・とすら思っておりましたが、これだけの量をまとめて読むと圧巻で圧倒です。文体というか言語感覚の豊富さに感動すらいたしました。短編映画を幾つも見た気分。グロテスクの中に愛や希望や郷愁や哀れみ、そして慈しみまで感じられる。特に「卵男」は切なくて良かった。装丁も素敵だし、読んで良かった。ミーハーな自分が誇らしい。
でもこれやっぱり1位じゃないよなぁ・・・・・・。