楡 周平『ラストワンマイル』

ラスト ワン マイル

ラスト ワン マイル

運送業界大手の暁星運輸・本社営業本部広域営業部に突如訪れた危機。長年独占契約を結んでいた大手コンビニチェーンの宅配業務が、相次いで民営化された郵政に奪われた。担当課長・横沢は、失った利益を補うための新規契約獲得に奔走するが、結果は芳しくない。その最中、創業当初から横沢が携わっていたIT企業「蚤の市」から到底飲めない要求を突きつけられる。会社が大きくなると手のひらを返すがごとく取引先を切り捨てる一方で、テレビ局を強引に買収するという果てない拡大路線を突き進む「蚤の市」に、横沢らは自らの進退を賭けた「戦争」を仕掛ける。


某IT企業による放送局の株買占めや、某インターネットモール最王手の会社など、現実を上手いことアレンジしたなーという感じですが、以前に読んだ「再生巨流」と被る。内容は異なるんだけど、空気が同じというかとにかく「画期的!」「このアイディア凄いだろ!」って押し付けられてるような気がして、社会の末端、歯車中の歯車な私としては小さくならざるを得ないというか、ちょっと気後れしてしまう。ていうか「蚤の市」て・・・。思いっきり架空の話として読めれば頭脳で戦う一種のバトル小説として楽しめたと思うのですが、最初に書いたように現実にあったことを叩き台にしてるようなものなので、小説世界に没頭できなかった。リアリティという点では文句ナシですが。まぁ基本世の中金よね・・・とつくづく思います。