
- 作者: 五十嵐貴久
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
- クリック: 29回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
何らかの外的要素で性別が違う二人の人格が入れ替わる。よくある設定です。何らかのエピソードを経験することで、父親を毛嫌いする年頃のムスメが父親の良さだったり有難味だったり、そういうものに気付く。これまたよくある設定です。そんな使い古された設定をイマドキらしい小説にする。ある意味この作家の得意技と言っていいと思う。
ということで、面白かったです。人物造詣も展開も、古い体質の会社の描写も女子高生の生態も、これといって特別なものは全くないんだけど、それでも最後まで面白く読ませる力はすごいと思う。これがリーダビリディってやつなのか?惜しいなーと思うのが、小梅とパパ二人のバランスがちょっと悪い。二人のバランスというか、学生生活とサラリーマン人生のバランス。最初のうちは良かったんだけど、中盤あたりからパパ、つまり小梅が中に入ったパパが会社でやってたプロジェクトがメインになっちゃって、小梅、つまりパパが中に入った小梅の学生生活の描写がほとんどなくなっちゃったこと。途中から冴えないリーダー(パパ)に率いられたダメチームが、紆余曲折しながら期待されていないプロジェクトを成功させようと頑張る話のちょっと捻ったバージョンになっちゃうんだもん。それはそれで面白かったんだけど、一方でもっとパパが小梅の学生生活に触れてカルチャーショックを受ける様が描かれてたら更に面白かったかな、という気がする。こういう話って、どうやって元に戻るのかな(どんな衝撃を与えるのか)ってことだけがオリジナリティの見せ所だと思うのですが、イマドキっぽいとは言えるけど、ちょっと無茶すぎ(笑)。
これ映像化しそうだなー。