折原 一『行方不明者』

行方不明者

行方不明者

埼玉県蓮田市である朝突然姿を消した滝沢一家。主のいなくなった家には、炊きたてのごはんや味噌汁が温かいまま残されていた。女性ライターの五十嵐みどりは、家族を知る人々への取材を通して、家族の闇を浮き彫りにしていく。一方、戸田市内では連続通り魔事件が発生していた。満員電車の中で痴漢の罪をなすりつけられた売れない作家の<僕>は、自分に痴漢の罪をきせた人物が通り魔事件の犯人だとたまたま知り、自作のモデルとするためにその人物を尾行し、やがて執着するようになる。二つの事件が重なる時、真実が明らかになる。


実際の事件に材をとったと帯にありますが、世田谷の事件だろうか。久しぶりにこの人の本を読みましたが、結末のしょぼさは相変わらずだな。物語の構図とか、謎の提示の仕方というか雰囲気作りはすごくいいので、ぐっと引き込まれはするんだけど、読めば読むほど詰まんなくなっていく、逆三角形みたいな話でした。しかも三角の先っちょは尖ってなくて丸い感じ。まぁそれがこの人らしいと言ってしまえばそれまでなんだけど、今回は何か傑作かも・・・という予感がしただけに、読後の“あーあ・・・”感はいつもより多めでした。