『SHINKANSEN☆NEXUS Vol.2 Cat in the Red Boots』@東京グローブ座

Yブロックという言い方でいいのかな、ステージ横に作られた席の2列目で観ました。グローブ座は何度も行ってるのでその狭さには慣れてるつもりだったのですが、やっぱ思う「近っ!!」270度ステージとはいえサイド席ってどうなんだろう・・・と思ってたのですが、主役のトーマが結構客席を背にすることが多くてその点横から見たほうが顔も見えるしセリフも聞き取りやすいし、通路を駆け抜ける演出が多いもんで、首を後ろに捻る必要がなくハケるところまで観れたしと、かなりよかったかなぁという感じでございました。
メタルさんの前説?がものっそいグダグダでした。お亡くなりになった丹波哲郎さんのお話をしてましたがカミカミのグダグダ。

事前にいくつか感想を読んだ限りでは、大人が見るには微妙にキツいファンタジーという感じだったんで、ただでさえひねくれものの俺、しかも同日の昼間にコテコテの歌舞伎を観劇した後・・・ということで、さてどんなもんよ?とあんた何者ですかて自分でも思うほど上目線なスタンスで臨んだわけですが、面白かった。予想以上に面白かったです。ここのところドクロとか吉原とかメタマクとかゴージャス新感線というか、完成度の高い芸術といっていいほどの舞台ばかりだったので、久々になーんも考えなくていい新感線だった。パンフでいのうえさんが「くだらね〜」と思いながらも「でもなんかちょっと良かった」と思ってもらえれば、とおっしゃってますが、ほんとその通りのことを思いました。劇団員さんたち(すほうさん含む)がアホを担当し、遥か遠い昔に忘れてきたような甘酸っぱい純粋さを主役の二人が感じさせてくれた。いろんな物語だったり天下一武道会ですか?みたいなシチュエーションだったり結構な詰め込みっぷり具合で、3時間(休憩15分)飽きることなく楽しめませてくれました。
ただね、肝心の主役の影が薄かったのが不満。ネコのノラはよかったんだけど、トーマの内面の描きこみが少なくて、日々兄達に虐げられても自己主張することもなく、なんのビジョンも持たずにただ日々を生きるだけの“美少年”が半ば強引に自分探しの旅をすることになる・・・そして受身で生きてきた“美少年”は大切なものを見つけ、自分の物語は自分自身で紡がなければならないことを知る・・・そういうことだということは理解できるんだけど、実感としてトーマ頑張れ!という気が起きなかったんだよな。トーマという“美少年”の軸がブレてるんだよなぁ。最初は自分の頭の中にあるメルヘン世界に生きてる無気力“美少年”のように見えたんだけど、ノラと共に外に出たとたんイジイジしてるくせに傲慢というか、トーマの本質がよくわかんなかった。そこらへんがイマドキの若者を象徴してるということなのだろうけど。
ということで斗真ですけども、やたら“美少年”と書きまくってますが、いやーほんと美少年だったわ。顔立ち整ってることはもちろん知ってるんだけど、劇団員さんたちの中にいるとそれが一層際立つ際立つ。この舞台においてはむしろあの顔立ちの綺麗さが仇になった気がしなくもない。無気力ダメ男だっていいじゃない、美少年なんだから!姫が惚れるのも当然よね、だって美少年なんだから!て思ってまう。長靴をはいた猫よりもシンデレラ男バージョンをやったほうが良かったんじゃね?みたいなね。冴えない(見た目冴えないとは設定上どこにもありませんが)場末で燻ってる少年にはとてもとても見えねー。いるだけでキラキラしてんだもん。髪型も袖口がふわっと広がってる白いシャツも斗真の可憐さをおもきし引き立てちゃってた。衣装といえばね、サンボさん演じるヘンゼル王子が着てた水色スーツにショッキングピンクのシャツをトーマが着るというシーンがあるんですけど、ヘンゼル王子が着てると失笑もんなのに、トーマが着ると普通にかっこいいのよwwていうかあの手の衣装見慣れてることに気が付いた。ありえねぇぇぇ!っつーコーディネイトなんだけど、当たり前のように着こなしてるトーマ(斗真)、そして普通に見慣れてるジャニオタ・・・。もしあれ皮肉っつーかそれを見越してやってたんだとしたら怖いんだけど、どうだろう。蚤殺陣はなかなか良かったです。あの身軽さはやっぱジャニだわーと。流れるような殺陣ではないんだけど、ピシっとしてるというかね、決めポーズだけはいっちょまえってとこがジャニですよ。歌はもうちょっと歌えるかと思ったんだけどなぁ・・・。でもまぁトーマという役自体はアレですけども、その中で斗真はよくやってたと思います。
ノラ役の松本まりかちゃんはハマリ役と言っていいと思う。あのアニメ声を活かしつつ、女の子(メス)ではあるんだけど、中性的、むしろ少年っぽさを感じるかわいいノラだった。ただ歌は破壊的なダメっぷりでしたけどね・・・。同じ新感線の舞台に出てた、アオドクロの時の鈴木杏ちゃんと似たような雰囲気だなと思った。もちろん、演技力という面ではまだまだ杏ちゃんには及ばないと思うけど、飛んで跳ねてちょこまかと動く姿はスケールの大きな小動物といった感じで、魅力ありました。この子は舞台のほうが向いてる気がする。
すほうさんはほんと綺麗で華奢で、お姫様を演じるのに何の違和感も感じさせないその美貌にはウットリでした。それなのに劇団員とバカやるのにこれまた何の違和感も感じさせないという・・・。
善さんはちっちゃいのにその存在感の大きさを改めて感じさせてくれました。後半からの登場なのですが、ダレそうになった空気が善さんの登場で一気に引き締まる。若い3人も劇団員もフルスロットルな勢いでぶっ飛ばす中、善さんの力の抜けっぷりはアクセントでありそして土台だった。

3バカトリオは大層楽しそうでした。粟根さんは粟根さんで(ガウン姿ハァ〜〜〜〜〜ン)、中谷さんは可愛かった(見た目)。そしてそれを上手いことまとめるしんぺーさん。まぁこの辺は想像通りというか間違いないっしょということで。

今回一番衝撃的だったのが礒野さんのお衣装でした。これから観る人もいるでしょうからはっきりとは申しませんが、横から見たらマジで下ケツ出てました。そして同じ衣装を着用したサンボちゃんの筋肉質な肉体に萌えてしまったことを告白いたします・・・。

そしてそして、俺的にこの舞台の主役はオスカルサンボちゃんでした、ということも合わせて告白したいと思います。正直トーマよりもヘンゼル王子のほうが素敵に見えた。ありえねー。


パンフの中で脚本の戸田山さんが“近所に猫がたむろしてる公園があって、今回の舞台の脚本を書いていたある昼下がりに「そうだ!猫を観察しなくちゃ」と思い立ってその公園に出向いたところ、手ぶらでやってきた戸田山さんに猫たちがコウキくんばりのメンチを切ってきた”とおっしゃっていたのですが、このコウキくんというのカツンのボーズのことでしょうか・・・?