今野 敏『百夜街道』

白夜街道

白夜街道

外務省職員がロシアからきた貿易商と密談した後、怪死した。死因は薬物中毒によるもので、ロシアのKGBがよく用いた手段に酷似していた。貿易商のボディーガードとして共に来日していた男の名はヴィクトル・タケオビッチ・オキタ。元KGBの殺し屋であり、四年前に日本国内で人を殺している。四年前の事件でヴィクトルと関わった警視庁公安部・倉島警部補はヴィクトルの来日目的を探るが、ヴィクトルだけでなく、貿易商にも驚きの背景があった。倉島は二人を追ってロシアへと飛ぶが・・・。


私の中で今野敏と言うと超能力というかびっくり人間というか、とにかくものすごい体質やら特技の持ち主が活躍するトンデモ小説の人、というイメージなのですが、普通に真面目なアクション小説でちょっと驚いてしまいました。もっとへんてこな話を想像というか期待してたもんで、面白いことは面白いけどそういう話を求めてたわけでもないんだよな・・・と若干複雑な気分。
ヴィクトルと倉島それぞれの視点で物語が進むのですが、4年前の事件のあらましは説明されてるんだけど、その時倉島は何をしてたのか、ヴィクトルとどういうシチュエーションで接したのか、そこらへんの記述がないもんで二人の結びつきが伝わってこなくて、アクション小説の定番である男の友情で締められても全く心が熱くなりません。ふーん・・・で終わってしまった。
公安と外務省の腹の探り合いがちょっと面白かった。そういえば公安部と刑事部の対立はよく描かれるけど、外務省対公安ってのはあんまり読んだことがないな。それに内調も加えて国内スパイ合戦小説とかちょっと読んでみたいかも。