鳴海 章『ナイフ・エッジ』

ナイフ・エッジ―剃刀舞踏会

ナイフ・エッジ―剃刀舞踏会

教室の片隅でじっとしている、クラスメイトからは影で天然記念物と呼ばれる少女を中心に、教師・生徒の異常な人生模様が高校を舞台に絡み合う。


帯に赤くて大きな字で「生きてるって、痛いッ!」とありますが、確かに痛い物語だった。身体の痛みだけでなく心の痛み、そして“あいつイタイよね”という意味の痛み。多かれ少なかれみんな鬱屈した欲望を抱えてる。解放する場所があるかどうか、解放する相手がいるかどうかで世界は変わる。快楽を求めるのが人間だけであるならば、快楽を我慢できるのも人間だけなのだ。
鳴海章がこういう物語を書いたことに驚きました。私が知らないだけかもしれないけれど、結構新境地だと思う。