- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/04/26
- メディア: 単行本
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最後のページに「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ。」というメッセージがありまして、これが全てを言い表してます。ほんと昔あったような大家族のほのぼのホームコメディそのもの。多分“寺内貫太郎一家”とか“時間ですよ”とかそこいらへんのドラマを想像すれば間違いないんじゃないかという気がする。キッパリ言い切れないのはちゃんと見たことがないからなわけですが・・・ま、イメージそういう感じということで。
面白いのはあの頃(昭和?)ではなく時代設定は現代で、頑固だけど実は話が分かるお爺ちゃんは定番でいいとして、その息子(60歳)は金髪&長髪の現役ロックミュージシャン、長女は未婚の母、長男はフリーライター、愛人の子供ながら分け隔てなく育てられたプレイボーイの次男と、昭和時代では考えられない設定だというところ。でもやってることは昭和なの。そのバリバリ作り物感がいい意味でドラマ的なありえなさを感じさせてくれました。衝撃的な出来事が起こるわけでもないし新たな発見があるわけでもない、言ってしまえばなんの盛り上がりもない予定調和な物語なのですが、ぼーっとぬるま湯につかってるような気持ちよさがある。気分がギスギスしたときに読むといいかもしれませんが、人恋しくて寂しい時に読んじゃ駄目。余計寂しくなるかもしれないから。