伊坂 幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

陽気なギャングが地球を回す』の続編。強盗4人組が、それぞれ日々の暮らしの中で起こったプチ事件を同僚や喫茶店の客などとともに解決する“日常”と、強盗の最中に見かけた誘拐事件に4人揃って首を突っ込む“襲撃”の2段構えで、“日常”で張った伏線を“襲撃”で回収する形になっていて、“日常”は短編ながらも4つの物語を1つにまとめてこの本では第一章という扱いになってます。
“襲撃”はまぁ普通というか、明らかに前作の方が面白かったなぁという感じでしたが、“日常”が面白かった。それぞれが遭遇する出来事がなさそうでいてありそうなほどよいしょぼ具合。大したことない出来事に食いつく4人が4人らしくて、4人を4人以外の人物の目線で描くことでそれぞれが他人からどう見られているのか?ということも分かる。一見何てことなさそうな話なのにイヤって程張り巡らされた伏線はやはり伊坂。特に久遠の“日常”はなるほどねーとちょっと唸った。くそー、いつもながらこ憎たらしい。

そして今回田中大活躍。何気にこのチームに一番必要なのって田中だと思う。まぁいろいろと都合よすぎな面もあるけど。・・・・・・と思ったら、作中で登場人物自らツッコんでるし。キィィィ!めっさ手玉に取られてる気分。

映画の公開に合わせての出版ということなのでしょうが、雪子さん以外のキャストがやっぱり違うよなぁ。