垣根 涼介『ゆりかごで眠れ』

ゆりかごで眠れ

ゆりかごで眠れ

愛は十倍に、憎悪は百倍にして返せ― コロンビア移民の子として生まれ、内乱の時代を生き抜きコロンビア・マフィアのボスに上り詰めた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシアは、ある理由で面倒を見ることにした浮浪児のカーサと共に、祖国・日本を訪れる。日本ではリキの部下パパリトが対抗組織の企てにより警察に捕まっており、リキとその部下はパパリト奪還を計画する。組織に馴染めない悪徳刑事・武田、日常に馴染めず生きている実感が湧かない元刑事・若槻妙子、年の離れた唯一の友人・竹崎、そしてリキの部下たち― リキに纏わる人間達の壮絶な愛憎、そして生と死を描く感動巨編。


感動巨編はいいすぎですが、スピード感がある物語で一気読みでした。移民の子として厳しい人生を歩みマフィアのボスにまで昇りつめた男の壮絶な物語を軸に、不幸な子供との心の交流にマフィアの男達の友情にロマンスにアクションとエンターテイメント要素盛り込みまくりという感じで、ストーリーそのものは至って単純なのですが、何も考えずに楽しめるハリウッド映画みたいな小説です。
主人公のリキはクールでクレバーでタフでそりゃもうカッコいい(半笑い)わけですが、主人公よりもその部下である殺し屋パパリトとパト(の友情)がいい。この人男の友情書かせたら上手いよなぁ。なんか心の熱いところをぐりぐり突いてくる。そしてどんな物語でも入れる車ネタ。今回はまぁ無駄とまでは言わないけど、でもやっぱりはいはい車好き車好きと思ってしまった。ワンパターンといえばそうなんだけど、ここ数作のガッカリ感を思うと今作はまぁ良し!という感じです。