- 作者: 射逆裕二
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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第24回横溝賞を受賞した作家さんで、受賞作は思いのほか面白かったのですが、これはダメだー。前作は細部まで丁寧に練られ、全ての疑問点に納得できる答えが用意されていてかなりの好感触だったのですが、今作はストーリーよりもシリーズ化前提で作られた(するつもりだと思いますが・・・)女装マニアの探偵に気を取られたんだか、話のテンポが悪い上に話そのものもつまらない。おまけに肝心の探偵にも魅力を感じない。せっかく女装マニアにしてるんだったらそれを生かすような謎でもコメディでもいいけど、なんらかの要素を用意してくれないと。単に女装好きの探偵ですと言われても、あーそうですか、ぐらいの感想しか持てません。
この狐久保という男の情報として過去の職業ぐらいしか言及がなくて、何故その職業を辞め現在は女装をしてるのか?これもまた人物設定だけは変わってる一緒にいる女性とはどういう関係なのか?そういうことは全く描かれず、続くのだとすればシリーズ中で明かされるという趣向なのかもしれませんが、今のところ知りたーい!と思うような魅力が全くないもんで、出オチですか?という感じ。
妻の死の真相も、なんか消化不良。それなりに伏線は張られているし分からないでもないんだけど、妻の死に関わった人物の行動と感情がちぐはぐだからなのかなぁ・・・どうもスッキリしない。探偵と主人公以外の登場人物達が書きっぱなしなのもスッキリしない。探偵の能力を知らしめる為に小さいながらも複数の事件を必要としたのであれば、それぞれ独立した物語にして連作短編集という形にすればこれほど散漫な印象を受けなかったんじゃないかなと思う。
続きがあったらきっと読むとは思うけど、探偵役の紹介が終わった次こそは内容で勝負して欲しい。