新井 政彦『ノアの徴』

ノアの徴

ノアの徴

心理学者の健人は、自らの心に巣食うモンスターの存在におびえつつもその欲求に逆らえず、チャットで見つけた若い女性を殺す。自らに容疑の目が向けられることのないよう周到に計画を立てたつもりだが、徐々に健人へ捜査の手が伸び始める。不安を覚えつつも欲望を抑えきれない健人だが、己の中のモンスターは次の獲物を求める。サイコスリラーで倒叙もの。これぞハイブリッド・ミステリー(帯より)。


第8回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞第一作。受賞した「ユグノーの呪い」が思いのほか面白かったので、注目している作家さんです。
人間の精神世界をテーマにしてるのは前作同様なのですが、前作がSFチックな設定だったのと比べると、今作は現代が舞台で至って普通。サイコを作る要素も定番中の定番といった感じで、恐怖や驚きは全く感じない。殺す人数も少ないし、フェチ(変態)具合もぶっ飛んでるわけでもないし、全体的に物足りない。それにこれ倒叙か?。小説以上に偏執的かつ変態的な犯罪が珍しくなくなってしまった今、半端なサイコ物では満足できませんよ。