蒼井 上鷹『九杯目には早すぎる』

九杯目には早すぎる (FUTABA・NOVELS)

九杯目には早すぎる (FUTABA・NOVELS)

第26回小説推理新人賞受賞作と第58回日本推理作家協会賞・短編部門候補作を含む酒と酒場にまつわる九つのミステリー短編集。

統一性をもたせるためだろうけど、無理やり酒でまとめすぎ。タイトル作とかほんと無理やり。トリックは悪くはないんだけどしっくりこないし、ユーモアのセンスも私には合わなくて、クスリともニヤリともできなかった。小市民的なユーモアミステリなら、殺人じゃなくてもっとセコい犯罪の方がよかったんじゃないかと思う。なんか犯罪そのものが浮いてるんだよな。語り口を含めて考え方とやってることの釣り合いが取れてなくて、人が死ぬ本大好きー(というと人格疑われますが)な私ですら、そんなことで人殺すなよと思ってしまう。「タン・バタン!」はまぁ良しとして、それ以外は悲運とか小心とかそういうレベルで語れない。
最初にも書きましたが、トリックは新しくはないがそんなに悪いとは思わないので、今時流行らないのかもしれないけれど、ストレートな謎解きモノにすればよかったのになーなんて思った。売れないんだろうけど。