誉田 哲也『ジウ 警視庁特殊犯捜査係』

ジウ―警視庁特殊犯捜査係 (C・NOVELS)

ジウ―警視庁特殊犯捜査係 (C・NOVELS)

都内で誘拐事件が発生。警察は万全の捜査態勢の下、身代金引渡しを行おうとするが、犯人に振り回され、最終的に引渡し役の母親の暴走によって身代金を奪われ犯人を逃す。数ヵ月後、都内で人質篭城事件が発生。SITは現場へ出動し、犯人との交渉を始める。差し入れ係を命じられたSIT所属の門倉美咲巡査は犯人の元へ向かい説得を試みようとし、SIT所属の井崎基子巡査は力で犯人をねじ伏せようとする。やがてこの事件は未解決の誘拐事件に繋がり、二人の女性警察官はそれぞれのやり方で事件に立ち向かう。

警察小説の新たなヒロインたちが、ここに誕生!!(背表紙より)ということですが、一言で言えば ザ・B級。B級警察小説で。対照的な二人の女性警察官が主人公なのですが、どっちもありえねー(笑。男顔負けの格闘術を持ち、常に生死を賭けた戦いをしたいと願う25歳の女と、犯罪者との心の交流を求め、自分を可愛いと思ってる特技が嘘泣きな27歳の女ですよ。どっちにも感情移入できねーって。
捜査や訓練活動はほとんどアクション。警察では絶対であろう階級も無視。それぞれプチロマンスあり。犯人はサイコ。このごった煮はB級ならでは。次の事件への展開が偶然に頼りすぎだとは思いますが、構造は結構凝ってます。犯人のプロフィールもなかなか興味深く、警察小説・犯罪小説として面白くなる要素はあるんだけど、重心が事件ではなく二人の女性警察官を描くことにあるので、事件自体はお手軽に書かれてるのが残念。これでヒロインが魅力的ならいいんだけどなぁ。
サイコ風味の「つづく・・・」なラストシーンで終わるのですが、これは続編を出すつもりなのか、結末ほっぽらかしなのかどっちでしょう。