伊坂 幸太郎『砂漠』

砂漠

砂漠

仙台の大学に入学した僕・北村は、お調子者・鳥井、孤高の美女・東堂、超能力少女・南、そして「その気になれば砂漠に雪を降らすことだって余裕でできる」と言い切る男・西嶋と出会う。僕らはいくつかの出来事を共有しながら大学生活を送る。砂漠に囲まれたあっという間の時間を。

ザ・伊坂。みんなが知ってる伊坂ですよー。というよりもこれ実話?なんて思ってしまうぐらい伊坂のイメージそのものなんですけど。
西嶋というキャラクターがいなければ「魔王」は何だったんだ!?と思うところですが、最も強烈な存在感を放つ西嶋には確実に「魔王」の魂が注入されてます。いいよいいよ西嶋。実験作「魔王」の次に、これを読ませてくれる伊坂が大好きだ。だって衣はラブコメですよ。伊坂版・青春純愛小説って感じですよ。そして中の具は熱い憂国論(言いすぎ)。伊坂な雰囲気を保ちつつ、「魔王」以上に響いてくるものがある。やっぱり伊坂はスゴイ。気がつけば結構遠い思い出になりつつある学生時代を思い出しながらああ、もうすっかり砂漠の住人になっちゃったな・・・カラカラだな・・・アメリカ嫌いだ・・・麻雀って面白いのかな?・・・とかブツブツ呟いちゃったりして。
例によってどうしようもない悪が存在してるんだけど、でもなんだか前向き。待ってる未来は明るくないかもしれないけど、でもなんだか前向き。読みながら私もなんだか前向きな気分になる。装丁と帯の内容にはちょっと疑問を感じますが、新年早々良い本読んだなーと幸せ一杯。
“人間の土地 サン=テグジュペリ”読んでみよっと。
あとやっぱり犬大好き。