西澤 保彦『フェティッシュ』

フェティッシュ

フェティッシュ

完璧な美を備えたクルミにとりつかれた男達と女達。
これは物に狂う人と人を狂わせる物の、愛の物語である。ほんとだよ。 牧野修(帯より)

ほんとだよ。
全てを伝える帯文に感動いたしました。
こんなにも狂おしく欲しているのに、触れたら壊れてしまう。そんな究極の存在を愛してしまった男女とその対象物。人であって物、崇拝する側とされる側、その思いは決して交わらないのですよ。抑えきれない募る想いってやつなのですよ。
西澤保彦+思わせぶりな目次=アクロバティックな結末を想像していたのですが、予想に反してストレートなホラーでした。ホラーだよな?
相変わらず女には厳しい西澤氏。フェチ男達は滑稽で、どことなく哀愁が漂うぐらいなのですが、女達を見る目はとことんドライ。そこに同属嫌悪のようなものを感じるのは気のせいですか?クルミの体質を受け入れられるかどうかが楽しめるかどうかの分かれ目ですかね。私はとことん楽しめました。超絶美少年を相手に触りたい触れない、でも触りたい・・・堪らないシチュエーションではないですか!!