黒川 創『明るい夜』

明るい夜

明るい夜

目標もないまま鴨川沿いの安アパートで暮らすわたしは、眠りたいのか眠れないのか分からないまま夜を過ごし朝を迎える。明日のわたしは、いまと違うわたしになっていればいいと思いながら。

可もなく不可もなくの毎日を過ごし、それなりに幸せでそこそこ満足していて、でもなんとなくこのままでいいのかなぁと思ったりする時もある。このままじゃよくなきゃどうするの?と思ってみても、具体的な何かが浮かぶわけでもなく、現状を変えることがめんどくさくて、そして多分ちょっと怖くて。だから、何か劇的なことが起こるのを心のどこかで待ってたりする。そんな現在の私は、トモちゃんにもイズミちゃんにも工藤くんにも感情移入。前に何かの本で“今は雌伏の時なんだ”という文に触れて、その時はそうだ、今の状態は雌伏なんだ!と思ったのですが、我ながら雌伏期間なげー。ていうか力貯まってんのかよ。あーあ。
京都、特に鴨川べりを描いた本を読むといつも、いいなぁという憧れの気持ちが湧いてきます。景色もそうだけど、時間の流れ方がゆっくりしてる気がするんだよな。そんなところで暮らせたならば、もっと穏やかな性格になれたかもしれないなぁなんて思ったりして。でもきっと刺激を求めて大阪に行ってしまうのですよ。人の本質は環境ぐらいじゃ変わりません。なんかもう本の感想じゃなくなってるし。