荻原 浩『さよならバースディ』

さよならバースディ

さよならバースディ

ボノボ(別名ピグミーチンパンジー)のバースディに言葉を教える研究“バースディ・プロジェクト”。担当助教授が死去したため、助手の田中真が責任者的役割を果たしている。真はバースディ・プロジェクトに協力してくれている大学院生スタッフ、藤本由紀と密かに交際をしているが、由紀は結婚を申し込んだその日に由紀は研究室のある5階から飛び降りて死んでしまう。目撃者は、その場に居合わせたバースディ。真は必死でバースディと会話を試み、由紀の死の真相を探ろうとする。


明日の記憶』でようやくブレイクした荻原浩の新作です。
ストーリーそのものの感想としては、「先生」と呼ばれる人間のほとんどはロクなもんじゃない(私の持論)ってだけで、人間の身勝手さにムカムカしながら読んだ。意識朦朧としてるサルをお前らの好きだのなんだの言い合うことの道具に使うんじゃねーっての。まぁ一瞬感動しかけたけど。最後に真が決めた選択も、この先のバースディの気持ちや困難を思うと素直に受け止められない。バースディをあんな目にあわせたくないと真が思った“飼い殺しにされてる実験個体の動物たち”のことを考えると、それで終わっちゃいけないと思う。とか思いながらも、テレビでチンパンジーと犬が買い物する姿をかわいいかわいい言いながら見てる私がいるわけで、なんていうか自己嫌悪・・・。あぁ、ほんやくこんにゃくが欲しい。ターザンパンツでも動物語ヘッドホンでも可。