伊坂 幸太郎『死神の精度』

死神の精度

死神の精度

1週間後に死ぬことが「ほぼ」決定している人間を調査し、「可」か「見送り」かの判断をし報告することを仕事としている職業「死神」。ミュージックが好きでクールな死神と調査対象者が紡ぐ6つの物語。

死に纏わる物語のくせに、読み心地はすこぶる爽やか。タイトル作でもある1話目を読み終わり、最後までこのパターンだったら厳しいなぁと思ったのですが杞憂でした。続いてノワールで吹雪の山荘ですから。調査対象の人間達が死ななければならない理由(調査対象になった理由)ははっきりとせず、ほとんどが「可」、つまり死ぬ運命にあり、そんな大切な判断を担う死神たちは対象者の事情よりもミュージックが大切だと。爽やかなのに、根底にはいつものように“どうしようもない悪”。伊坂ワールド=こことここが繋がるのかー!的な驚きはやや控えめではありますが、そのシチュエーションと、その結末は苦すぎるんじゃないかなぁ・・・と思ってたことが救われたオーラスは震えた。かなり震えた。そして犬。必ず犬。読む前は薄いなーと思った本が、読後はしっかり重みを感じました。やっぱり伊坂好きだーとニマニマ。
そういえば、いつも感じる「相変わらずスカしてんなー」っていうのがなかった。視点である死神の千葉さんがナイス天然だからなのもあるかもしれないけど、なんていうか、自然体な感じがした。余裕が出てきたってことなのかなぁ。スカしまくりな伊坂が結構好きだったりするんだけどな。