永瀬 隼介『天涯の蒼』

天涯の蒼

天涯の蒼

北関東の県庁所在地で起こった風俗嬢殺し。事件を担当した古城は、無実の容疑者を自殺に追い込み警察を追われた。4ヵ月後、細々と探偵事務所を営んでいた古城の元に1人の少年が現れ、風俗嬢殺しの犯人は地元の暴力団員だと訴えた。在職中から警察と暴力団の癒着を疑っていた古城は、自分は嵌められたのではという疑惑を抱く。真相を暴くため調査を始めた矢先、暴力団の内部抗争が勃発し、街には腐臭が立ちこめる。正義を取り戻す為、警察と暴力団という強大な敵に立ち向かう元刑事の人生を賭けた闘い。

ハードボイルドな探偵物は、結局のところ主人公の探偵の魅力が全てだと思ってる。貧乏はハードボイルド探偵の定番ですけど、警察辞めて4ヶ月ですよ。4ヶ月なら失業保険出るんじゃないの?それに、懲戒免職ってわけじゃないんだろうから、退職金だって出るだろうし、そんな貧乏になるわけないでしょ。警察時代はバリバリの一課の刑事だったわりにはヤクザに知り合い多いし、一匹狼気取ってるわりには元同僚使いまくるし、安易にチャカ振り回すし、イヤな奴に見えちゃう。要するに都合よくハードボイルド的な小道具を持たせただけで、全然カッコよくないのです。ストーリーも展開が片っ端から読めてしまうほど浅い。中途半端な地方都市が舞台であることも重要なポイントなのに、地方都市ならではの閉塞感というか諦観みたいなものも意図してるほど伝わってこなかった。
それから、本気で訓練されたドーベルマンはそんな簡単に飼い主以外の人間には懐かないと思う。ドーベルなめんな。