五條 瑛『蝶狩り』

蝶狩り

蝶狩り

人探し専門調査事務所を営む30過ぎのしがない男、桜庭。流行の服に身を包み、蝶のように街をすり抜ける女達を捜す日々だが、ある日突然、知り合いのキャバクラ嬢キリエが姿を消した。個人的にキリエの行方を捜るかたわら、関係の深い法律事務所から大規模なボッタクリバー事件に関わる調査を依頼される。何億もの隠された金の行方を巡り、多くの人間の欲望が渦巻く。調査過程でキリエの足跡を見つけた桜庭は、自らその渦の中へ・・・。

連作短編集らしき構成なんだけど、最初の2作以降はほぼ一つの話。これって続くのだろうか、全く話が終わってないんですけど。これで終わりだとすればあんまりです。余韻のあるラスト、想像の余地があるラストと言えば聞こえはいいけど、これはほっぽり投げてるだけです。
だがしかし、この前よんだ「上陸」(http://d.hatena.ne.jp/minko/20050607#p3)では、全く萌えどころがなくて不満だーと書いた私なのですが、これは五條ワールド炸裂。30過ぎのオッサンってとこが微妙ではありますが、桜庭を間に挟んで、金持ちのボンボンでルックスは極上の遊び人(仕事は逃がし屋)と、ヤクザの2代目で元ラグビー選手の幼馴染のトライアングル関係ですよ。ウホッ描写があるわけじゃないんだけど、やっぱり漂う淫靡な空気。桜庭がまた苛めてやりたくなるタイプで、鉱物シリーズの葉山的ポジションなんですよ。ということで、多分、物語が終わってなかろうがなんだろうが、お嬢さんたちには何の問題もないのだろう。いろんなパターンの物語後を想像できると考えれば、むしろ歓迎なラストだったりするのかもしれない。そういう意味で、非常にオタ向けの物語です。
うん。俺、檜林萌え。