伊岡 瞬『いつか、虹の向こうへ』

いつか、虹の向こうへ

いつか、虹の向こうへ

第25回横溝正史賞&テレビ東京賞ダブル受賞作。
一瞬の魔に落ち、人生が狂ってしまった元刑事の尾木は、3人の居候と奇妙な同居生活を送っている。いつもよりもほんの少し飲みすぎた帰り道で家出少女と出会い、彼女は尾木の家で数日を過ごすが、それをきっかけに殺人事件に巻き込まれるハメに。タイムリミットは被害者の初七日当日。尾木は「最後の家族」を守ることができるのか。


テレ東賞なので、映像化が既に決まってるわけですが、帯を見ると石田純一主演の文字が・・・。見る気しねー!ていうか、石田純一逆効果。これね、結末に不満タラタラなのですけども、結構面白かったのですよ。余りにもステロタイプなハードボイルド小説で、今時こんなの書いちゃう度胸はある意味スゴイなーなんてニヤニヤしながら読んだわけですよ。でもね、これ石田純一かよ・・・と思うと一気に萎える。思う必要ないし、見る必要もないんだけど、でもやっぱり浮かぶじゃないですか。キャスティングのせいで主人公の魅力がた落ちですよ。あーあ。
アンフェアな部分があるもんで、ミステリとしての評価はできないけれど、脇役はそこそこ魅力的だし、タイトルと結びつく虹の話も印象的。無駄な描写やエピソードもなく、同居人の背景がだんだんと明らかになるストーリー展開も自然。今後、どういう路線のものを書いていくのか分かりませんが、次作も期待できそうな感じです。
ずーっと考えてたんだけど、主人公役は椎名桔平で。桔平に置き換えて読み返そうかな・・・。