戸梶 圭太『グルーブ17』

グルーヴ17

グルーヴ17

東京峯尾学園(所在地所沢)には、ルックスだけはいい奴らが集まる芸能科と末はホームレスになるしかないほどバカなパンジン科(普通科)がある。顔がいいか悪いかの違いだけで「ヤリてー」としか考えてないのはどっちも一緒だが、顔面レベルの差はやはり大きい。童貞のまま高校を卒業しそうなサイテーの日々を送るパンジン科の二人の男子がある日、ヤクザもどきの怪しげな強面男に声をかけられ、六本木のパーティーに芸能科の女子を連れて遊びに来いと誘われる。いやいやながらも芸能科にツテがある同じクラスのブタを頼りなんとか女子を集め、そしてパーティの夜。3人の男子の運命が動いた・・・。


新潮ケータイ文庫で連載されていたものだそうで、なるほど、ユルい。使ってる言葉は戸梶だけど、内容は至って普通。戸梶お得意のフォントいじりもないし、擬音も少なめ。冒頭の、中退したパンジン科の奴のモーターショーから芸能科の生徒や先生の設定は、比較的戸梶らしく書き込んであるんだけど、話が進むにつれてどんどんトーンダウンというかテンションダウンというか普通の話になってしまって、うーん、戸梶速攻やる気なくした?と思ってしまった。連載されていたものは読んでないのでどれぐらい違ってるのか分かりませんが、やっぱ細切れに発表すると勢いが続かないのかなぁ。3人の高校生の目線で描かれるのですが、芸能科の男子はともかくパンジン科の二人の背景描写が少なすぎで、明らかにチャチャっと追加したような感じがするのですが、もしかしてこれ追加部分なのかな。なんか余りにもどうでもいい扱いでかわいそすぎ。まぁ、激安バカ若者の未来なんてこんなもんだろうし、この未来のなさっぷりはリアルなんだろうなぁと思う。
ケータイ文庫って若者向けだと思うんだけど、これって中高生あたりに向けての指南書というか、煮詰まってるとロクな考え浮かばないけど、思考をちょっと変えるだけでちょっとラクになるよーとかそういう意味が込められてるのかなと思った。考えすぎかな。