乃南 アサ『駆けこみ交番』

駆けこみ交番

駆けこみ交番

等々力不動前交番に勤務する新米警察官高木聖大。のんびりした土地柄のせいでいまいちやり甲斐に欠ける毎日を過ごしていたが、地元の老人七人衆に気に入られ所轄を駆け回るうちにお手柄を上げ、おまけに十数年来の未解決事件を解く糸口をつかんでしまったのだ!<キャラ立ち>青春警察小説。

キャラ立ちしてるかどうかは別として、気楽に読めるお巡りさん物語です。この本の前作にあたる話があるらしいのですが、私は未読。でも特別問題なさそうな感じです。主人公の聖大のキャラは特別めずらしいものでもないし、町のお巡りさんが、派手ではないけれど一癖ある事件を協力者の力を借りて解決するってのも特別めずらしい設定ではない。で、どこがポイントかというと、この物語はその協力者がお爺ちゃんお婆ちゃん7人組だってとこですね。まー、微妙なキャラ立ち具合なんだけど。みんなそれぞれ外見や職業とギャップのある<他人に教えられる特技>があるって設定なのですが、それが特別物語に直接関わるわけではないし、設定でキャラ立たせようとするのはちょっと安易すぎる。次の物語へ続くみたいなので、この設定がゆくゆく生きてくるのかもしれない。そうだといいな。
何人か同僚のお巡りさんが登場するのですが、主人公を直接指導する先輩がイヤーな奴で、この人が一番キャラ立ちしてます。この人の視点でこの物語を読むと、かなりギスギスドロドロした物語に変化しそう。裏を返せばいつもの乃南アサ。やっぱりそっち側視点の方が面白そうに思えてしまうのですが・・・。