鳥飼 否宇『痙攣的』

痙攣的

痙攣的

伝説のバンド「鉄拳」の初にしてラストステージ上で起きた密室殺人。前衛舞踏家が遺したダイイング・メッセージ。客の目前で死体を残し消失したイリュージョニスト。問題は五感、そしてアイデンティティ

酔った。それも悪酔い。予想を裏切る展開で、物語が繋がっているのかいないのか構成ははっきりしないし、気がついたらSFになってるし、最後は異世界の物語だし。こういうのをシュールって言うの?
相変わらず幻想的な雰囲気作りは上手いです。というか、今回ストレートすぎ。デビュー前から業界で話題の覆面バンドのデビューステージ、全くジャンルの異なる4人の前衛芸術家が集う発表会、人口80人の島で行われる覆面イリュージョニスト(これはそのまんま覆面)による大掛かりなアート、とまぁズバリなシチュエーションの中、起こる犯罪は本格の王道。一応の決着はついてるけど、モヤモヤ〜とした感覚が残るなぁと思ったらいきなりSFですから。それもギャグ交じりの。こういう設定考えるのってすごいセンスだと思う。素直に尊敬。ものすごいバカ設定で、それでいて陰惨。そして壮大なラスト。でもイカ。気持ちわるいなほんと。かなり路線が定まってきた感じですね。ダークでドライでポップな感じ。大好きです。