町田 康『告白』

告白

告白

<河内十人斬り>町田康バージョン。
これ、現時点での町田の最高傑作ですよ。言葉のリズム、文章のドライブ感は相変わらず町田で、ページをめくる度にニヤリとしてしまうネタもぎっしり。これまでの作品は、そこまでで終わってしまうというか、読み終わって「・・・・・・で?」って思うものが多かったんだけど、これは違う。町田のいいところを全て集めた上で、読後何かを考えてしまうというか、内容に対して余韻が残るのですよ。空気や感覚としての余韻じゃなくって、思考としての余韻なんですよ。これはスゴイぞ。
最後まで自分の世界に浸りきった妄想アホ男の生涯、そして恋愛もあり兄弟愛も師弟愛もあるというサービスっぷり。ほんっとに熊太郎がアホでアホでアホで・・・。どうしようもないアホ男なんだけど、憎めない。そして妙に共感できてしまうんだよな。なんだか自分の将来がこれまで以上に不安に思えてきました・・・。大丈夫かな、あたし。