- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/02/03
- メディア: 単行本
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はるか遠い夏の終わり。街中の人に尊敬される青澤家で開かれていたパーティに、死の使いがやってきた。大量毒殺事件。残された一編の詩。百日紅。青い窓。そして生き残った盲目の美少女。あの夏の真実はどこにあるのか。
装丁が素敵すぎ。表紙をめくった瞬間、キューッてなった。冒頭の詩とプロローグ、目次。そしてアッサリとしたタイトル文字が記された水色の用紙。ここまでで既に満足。例えこの先がどうであっても、この本を買ったことを後悔しないねっと思った。確認すると祖父江慎。ぐぉー!また祖父江か。
問題作「Q&A」に似た手法で物語は進む。今回は「A」としての1人語り。「Q&A」の悪夢が蘇りそうになる。軽くビビる。
作中ではっきりと地名が記されているわけではないけど、明らかに想像がつく「金沢」という土地のイメージそのままにしっとりとした空気感。大人な雰囲気。そしてどこか薄ら寒い。
忘れられかけた過去の事件を、関係者の証言を元に再構築していく過程で浮かび上がる真犯人の存在、動機。ミステリ仕立てのようですが、女王のような美少女の存在感や、もう1人の主役である女性作家の価値観、旧家を崇める街の雰囲気など、むしろ幻想ホラー。
心配していたオチは、ちゃんと着地しています。鮮やかな着地というわけではなく、ホワンとした着地だけど。捜査の過程で謎とされていた事は、んなもん(読者が)分かるわけねーよ!だし、動機は不透明なままだし、そういうことだったのか的な爽快感はもちろんないわけですが、そもそもこの人にそんなことを求めてはいけないのです。「考えるんじゃない!感じろ!」が恩田作品を読む上での心構えなので。
恩田陸ワールドはそれなりに味わえました。概ね満足。
装丁は素晴らしかったのですが、どーも文字が右下がりになってる気がするのと、フォントの「、」が気になった。これはあんまり好きじゃないなぁ。