東山 彰良『ラム&コーク』

ラム&コーク

ラム&コーク

刑務所帰りの礼と礼の異母兄であり元ホスト(現在客との浮気が原因で係争中)の冴コンビと、15年前に中国から密入国した林傑と羅偉慈のコンビがショコラこと翔子を間に挟み、翔子の祖父が仕切る地下銀行の隠し金を巡って、欲望まみれの大争奪戦を繰り広げる。


いつものように福岡(博多)を舞台にしたクライムアクション小説。テンポも軽さも程よいので、頭使わずに読めます。
前2作は、凶悪殺人犯とかヤクザとかストリートギャングとか一般人からは程遠い登場人物ばかりでしたが、今作は、これまでで一番普通の人達が暴れてます。とはいっても、前科者とか密入国者とか殺し屋とかなんだけど。
複数の人間がある物を取り合い、殴り合い殺しあうってのは前作と同じようなもんなんだけど、今作には「勘違い」というスパイスが入っていて、ちょっと笑える要素になってるし、争う理由づけとしてもよく効いてると思った。
キャラクター造形はやっぱり上手いな。平等に肉付けされてる。前作では10代の若者が多かったせいか、会話部分がぎこちない気がしたんだけど、今作は自然だと思った。若者が出なかったからか、それとも上手くなったのか。それは次作のおたのしみということで。