福井 晴敏『6ステイン』

6ステイン

6ステイン

というわけで、福井初の短編集。ちょっと本の材質というか持った感じが頼りなげではありますが、デザインはとても素敵です。
あれですよ。「920を待ちながら」を読みたい、それだけで乱歩賞作家 白の謎を購入したのは私ですよ。「920」自体は満足だった。超満足だったんだけど、何もこんなに早く自分の短編集として出すことないじゃないかー。ダイス繋がりなんだから仕方ないじゃんとは言ってもちょっと落ちた。ローズダストの連載ぶった切りと合わせて、このところちょっと感じわるくない?って言いたくなる。
ダイスに関わる男と女を描いた6編が収録。存在そのものが社会からすればステイン=染みである人々。あえてそうしているのかもしれないけど、「おっさんと孤独な美少年」率は少ない。これまでの登場人物達ほど萌えられないのはそのせいだろうか。
最初の3編は小粒。分量も少なめで、福井ならばもっともっと大げさにできるはずなのに、いやむしろ普通に書いただけで大げさになってしまうので、めちゃめちゃ我慢しまくって短編に仕上げたって感じ。雑誌に収録されたものなので、枚数制限があったと思うのですが、やっぱり福井は長編の人で、暑苦しいほどの描写と笑っちゃうほどのスペクタクルがないと読んだ気がしない。
それでも「媽媽」から「断ち切る」への流れはさすがだなぁと思わせる繋がり方で、やっと福井を読んでるー!って気がしたところで「920を待ちながら」キター!ですよ。もう思いっきり手玉に取られてる気分。
追い風吹きまくってるこの時期に新規客を増やそうと思って出したのかなーと想像しますが、福井は長編の鬼ですから。おっさんと美少年のロマンス書いてナンボですから。早いとこローズダスト完結編を出してください。
うあーそんなん思ったらまたイージス読みたくなってきた。何度目だよ。