石田 衣良『アキハバラ@DEEP』

アキハバラ@DEEP

アキハバラ@DEEP

アキハバラの弱小ベンチャーアキハバラ@DEEP」。吃音症のテキスト屋、原因不明で突然身体がフリーズを起こす電子音楽オタク、不潔恐怖症Webデザイナー、コスプレおたくで女ターザンな美少女、中卒で色素欠乏症の天才プログラマー、引きこもり歴10年の元大手法律所勤務と個性豊かな6人のメンバーが不眠不休で作り上げたAI型サーチエンジン「クルーク」。その大切な「クルーク」を狙う悪の帝王=デジキャピ。「クルーク」を巡り、オタクの誇りをかけたアキハバラ戦争が始まる。


IWGPのアキハバラ版。ノリはIWGPと同じで、あれのオタクバージョンだと思って間違いないです。ただ、全く萌えないのは、やっぱアキバだから・・・だろうか。
メンバーそれぞれ得意分野があるのですがちょっと弱いかな。プログラマーとターザン美少女だけだもん、持ち味をちゃんと生かせてるの。見た目でそれほど区別がつけられるわけじゃないから、そりゃないんじゃないの?って程のハンデをそれぞれに与えてるのですが、一般的なオタクのイメージからそれほど逸脱することなく、それぞれを書き分けないとならない、となると多少のこじ付けや強引さも仕方ないかなと思う。
思い切って電脳世界=インドアで限定しちゃって、“部屋から一歩も出ない戦争”を書いてくれればちょっと目新らしかったと思うんだけど、そういうわけでもなく、結局はIWGPのバージョン違いにしかなってない。一夜の熱狂、一瞬に賭ける若者のパワーみたいなこの人独特の高揚感は味わえたけど、やっぱり二番煎じ的。書いた人は同じなんだけど。
あと、連載されてたものなので単行本にまとまるまでは内容にタイムラグが生じるのは当たり前のことなんだけど、動作環境なんかが古すぎて、ちょっと笑う。技術がどんどん進んじゃうってのも、書くほうは大変だよなぁなんて思った。