- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/10/23
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 176回
- この商品を含むブログ (130件) を見る
リピート先で、やがて1人また1人と仲間が不可解な死を迎える。
これは、リピート体験をした仲間(リピーター)を狙った連続殺人なのか。それならその犯人は?それともこれは、歴史に手を加えた罰なのだろうか。
おー、これおもしろいです。本格か?だとかミステリか?だとかは置いといて、素直におもしれー!と思いました。まず、10ヶ月前のある日時限定で、そこへしか戻れないってのがセコくていいです。しかも10ヶ月前って微妙・・・。やり直すってほどでもないじゃないですか。自分が10ヶ月前に戻れるけどどうする?って言われても、また同じ一年を繰り返すのもめんどくさいなーとか思ってしまいそう。これが好きな時にだったり、10年前だったりするんなら話は別なんだけど。そこらへんの中途半端な微妙さがなんかよかった。登場人物も、やっぱりほとんどの人がリピートという現象にたいしてガッついてない。んー、10ヶ月だし何すっかなぁ・・・みたいな感じなの。
まぁちょっとした夢物語ですよ。案内人がバッチリ競馬の結果とか覚えてて、電話かけたら何を買えば当たるか教えてくれるとか。そういうの夢見ることってあるじゃないですか。あと、振られた相手を今度はこっちが振ってやるだとか、そういうこと思ったりしますよね。その手のプチ幸せみたいなのは叶うわけですよ。非現実的な舞台なんだけど、でもやっぱり小市民は小市民ってところに共感できました。
で、そんな小市民的登場人物が多い中、主人公の女関係はひどいです。一見ちゃんとしてそうなんだけど、何気に酷いことしてんの。お前絶対ロクな死に方しないね!と思ってたら・・・そういうことか(ニヤリ)。
連続して起こる死に対する謎は、それほどでもないかと。下手にリピーターは他にもいた! ってなことになっちゃうと、非現実に偏りすぎちゃうと思うので、特別驚きはないけどこれでいいのだと思う。池田さんはズリー!そんなんアリかよー!と思ったけど。
最後の締めが無理やりというか、とりあえずこのラストにするというのは決定事項で、そこへ強引に持ってった気がしまくっているわけですが、まぁ想像通りというよりもお約束通りって感じですかね。このテーマじゃこうするしかないでしょ。というか、リピートそのものはなくなるの?R0に戻るの?あれ?
本格か、ミステリか?という問いには、本格風ファンタジーだね(にっこり)と答えようと思います。