矢作 俊彦『THE WRONG GOODBYE』

THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ

THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ

とてつもなくこんがらかっているので、あらすじを書くのは諦めました。処理能力オーバー。
とりあえず、主人公は神奈川県警捜査一課に所属するも、殺人事件の容疑者の失踪を手助けした嫌疑をかけられ、超閉職にまわされた警察官。一応警察に所属してるんだけど、刑事じゃない、元刑事。それでも「警察」と入った名刺を持っているし、昔の同僚なんかに頼めば多少の権力(ナンバーから持ち主を探るとか、携帯の番号の持ち主を探るとか)は使える。時間だけは有り余っているので、警察官でありながら個人的な失踪人捜査を行うことができる(探偵的な仕事ができる)。そんな設定です。
どうやら、前2作に続くシリーズ物のようですが、未読。うー、やっぱりちゃんと1作目から読むべきだった・・・と後悔。どうしても主人公の性格とかバックボーンみたいなものが新参者には分かりにくい。ものすごく勿体無いことしちゃったな。
とにかく正統派ハードボイルドといった感じ。日本を舞台にハードボイルドするのって、生活スタイルの違いだったり私立探偵という職業がメジャーじゃないとかそういう理由で難しいと思うんだけど、これはそれほど違和感を感じなかった。新宿や六本木だとハードボイルドというよりアクション小説じゃん、というような感じになりがちなんだけど、これは日本でありながら日本でないような雰囲気の町、横須賀を舞台にしているせいかなぁ。土地勘が全くない上に、米軍基地があってそこらじゅうに外人がうようよしてるんでしょ?的な無知丸出しの印象を持っている場所なので、かってに想像できるというか、海外作家の小説と同じような感覚で読めたし、気恥ずかしくなかった。
とりあえず、巻頭に登場人物表をつけてくれよーと思った。主人公以外、関係者がほとんどアメリカ人(に限らず白い人)とかアジア人なんですよ。もうね、名前と役職というか設定みたいなもんがこんがらかって分からない。特に米軍関係者。でも友人の事件とは別に依頼された失踪人捜査が繋がってくるあたりからは、物語がぐんぐん面白くなるので、読み終わってみれば人物造形がどーのこーのとかはそれほど重要ではないな、と気がついた。ラストも渋い余韻が残るし、あー、ロンググッドバイ=長いお別れかぁ・・・LONGじゃなくてWRONGなのはこういうことかーとしばしウットリ。
前2作を読んでから、もう一度読む。それからチャンドラーももう一度読む。