小路 幸也『高く遠く空へ歌ううた』

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)

おとぎ話みたいなのに、素直に読めない話だと思った。口調は軽いんだけど、よく聞いてみると思ったよりシビアなこと言ってるって感じ。寄宿舎で合宿してるって割りには簡単に外出できるなー(なんとなく寄宿舎っていうと、閉ざされた世界なイメージなもんで)。3部屋6人グループって設定は特別意味ないのかよと思わなくもないですが。でもこれは、柊さんという存在を自然に絡ませるための設定なわけで、柊さん(まだギリギリ自分たちの仲間=子供ではあるものの、冷静で客観的。しかも金持ち)の存在があるからこそ、このちょっと特別な世界感になっていると思うので、よいかな。よいのかよ。この路線は書き続けて欲しいと思う。雰囲気とキャラクターのディテールだけでこれだけの世界を作れるのだから侮れないぞこの人は。あとはストーリーだな。一応デビュー作の続編になっているのだけど、どんな話だったかラストでようやく「あーそんなんだったねー」と思い出したぐらいなので・・・。